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普通に生きて、普通に死ぬことが一番難しい。死刑でいいですの感想

晴天 ブログ
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皆さんこんにちは!

今回は個人的に考えさせられた書籍「死刑でいいです」をご紹介します。

タイトルがなかなかに衝撃的ですが中身がかなり人生の底辺の縮図を見ているような息苦しさに襲われます。

合わない方もいらっしゃるかと思いますが是非一読していただきたいと思います。

1.あらすじ

簡単にこの本のあらすじをご紹介しますと、2005年に大阪で発生した姉妹刺殺事件の犯人の幼少期から母親を殺害し、広汎性発達障害を少年院で指摘された後に殺人事件を犯し死刑判決を受けるまでをまとめたルポタージュです。犯人の名前や事件の概要は正直気分が悪くなる方もいらっしゃると思いますので控えます。

内容的には始めから終わりまでかなり陰鬱としているので正直読む人を選ぶお話です。

読んだ後に嫌な気分になるのは覚悟していただいているほうが良いかとは思います。

それを加味してもぜひこの本を読んで頂きたいなと思ったのには理由があります。

2.この本の本質

あらすじだけ読むと残忍な殺人犯が死刑になった話なんて読んでどうするんだと思われそうですが、本質はそこではありません。

この犯人は幼少期から両親から愛情を受けることなく成長し、周りとなじめないことにより学校ではいじめにあい登校しなくなります。

父親が病死してからは極度の貧困に悩まされます。この時点でなかなかのハードモード人生です。

その後アルバイトを始めた犯人(息子)の財布からお金を抜いていた母が交際相手の電話番号を発見し無言電話を掛けたところで激高し、母を殺害してしまいます。

少年院から出所後は仕事を始めますが少年院時代の仲間に発見されやめてしまい、最終的にはパチンコ屋で違法な操作をして儲けを得る「ゴト師」のグループに入りますがなじむことができず出ていくこととなり無関係の姉妹を刺殺するに至っています。

私自身殺人に関して、あるいは死刑になった(すでに死刑執行済み)ことに関して何の疑問も持っていないし当然であると考えています。むしろそれだけで罪を償ったことにして社会的には終わらせても、被害者とそのご遺族の人生はもう二度と戻ってこないわけですから死刑なんかでも足りないくらいだと感じています。

しかし本を読んで感じたのは犯人の人生の大半を占める圧倒的な孤独なのです。

少年院に入所していたころに犯人は広汎性発達障害であると診断され、出所したら精神科の受診をするようにと勧められていたそうです。

小学校や中学校で周りのクラスメイトとうまくなじめなかったのは発達障害による特性が関係しているのだろうということでした。

家に帰っても学校にいっても理解者がいない、どれだけ短い人生であったとしても他者からの愛情をほとんど受けることなく生きることは苦行に近かったと思います。

孤独はその本人だけでなく周りをも巻き込んで大きな渦を作ってしまう、それが孤独の本当の怖さだしそれがこの本の本質だと感じました。

3.人生は持たざる者にはとことん厳しい

この事件の犯人は幼少期から愛情も与えられず、金銭的にも困窮して、いじめにもあっていたせいで友人もかなり少なかったようです。

この環境から這い上がるのはどうすればよいのでしょうか。

正直何かの才能を自分で発見する、絶対的な理解者・支援者を見つける、チャンスをつかむ能力が特別高いなどよっぽどラッキーだった人以外は最初からハードモードの人生を送っていると逆転するのは難しいです。

なぜ難しいのか。

親からの愛情を受けられない→教育にお金をかけてもらえない→知識を身に付けられない→逆転できるチャンスがあっても知識がないせいでつかめない。

このループの中に生まれたときから入ってしまうからだと思います。どこか一つでも違っていたら抜け出すチャンスがあるわけですが正直生まれた環境や地域は子供が自分で選ぶことのできないものですので変えることは困難です。

その時点でハンデなわけです。

それでも自分と真摯に向き合ってくれる味方が見つかればより良い方向に転換できるかもしれません。それすらもかなわなければ自分の人生においての居場所を見つけることは出来ません。

いわゆる普通の人生を歩めている人はこのすべてをクリアしてきた人たちですから実はかなりラッキーな人なのです。

その普通すらも持つことを許されず生きていかないといけない人間も少なからず存在します。

生まれ持って普通の才能を持っていない人間が普通の人生を生きてくというのは本当に厳しいことなのです。

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4.的確な支援の受け方を明確にしてほしい

本文中に少年院に入所しているときに広汎性発達障害を疑われた犯人でしたが紹介状を受け取っても実際にその病院を受診することはありませんでした。受診の仕方がわからなかったのかもしれませんが、そもそも受診することの意味自体が本人に伝わっていなかったのかもしれません。

その病院を受診し診断を受けることで、例えば手帳の交付が受けられることやそれ以外にも行政からの支援が受けやすくなることなど、もっと明確に理解できていたなら本人の人生も好転した可能性もありますし、被害者がその後に出ることもなかったかもしれません。

基本的に行政の支援や医療の支援というのは自分自身で調べないと制度そのもの自体の存在を知ることすら難しいのです。今現在だってそうです。

いったい誰のための政策なのか、支援の目的は何なのか、もう一度行政側に見直していただきたいし支援の在り方を見つめなおす機会を作っていただきたいなと思いました。


5.おわりに

いかがでしたか?

今回は結構重たい内容ですし賛否があるかもしれません。

ただ一つだけきちんと理解していただきたいのは、この犯人に賛同しているわけでもかばい立てしているわけでも何でもないということです。

どんな環境に生まれようが人殺しなんて絶対に許されてはいけないし、与えられた環境が変えられなくてもその中で必死にもがくべきです。

しかし、普通に生きること、普通に死ねること、それはじつはとても恵まれたことなのだと知っていただきたかったのです。

人生を見つめなおすきっかけになればと思います。

ではまた~!

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